事業譲渡とは、M&Aの手法の1つで、事業の譲渡のことです。
旧商法では、「営業譲渡」という用語がつかわれており、「営業譲渡」について、判例では、「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部または重要な一部を譲渡し、これによって、譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に同法25条(現在の商法16条)に定める競業避止義務を負う結果を伴うものをいうもの」と定義されていました。
有機的一体ということなので、個々の資産や契約ということではなく、その事業についての、資産・負債はもちろん、社員や契約、取引関係などすべてを一体としてとらえることになります。
たとえば、1つの会社が複数の事業を営んでいる場合で、そのうちの1つの事業を他社に譲渡し、残りの事業は引き続き、その会社が営むというような場合に使われる手法です。
買い手企業は、売り手企業に、対価を支払います。そのため、買い手企業は現金の準備が必要であり、売り手企業は現金の収入が得られます。
一方、株主関係には変化がありません。
事業譲渡を使うメリットとしては、会社ごとではなく、事業単位で譲渡できるので柔軟性が高い点があげられます。また、譲渡にあたっては、個々の資産・負債・契約ごとに移転手続きが必要となるため、簿外債務などを引き継ぐリスクがないのもメリットとなります。
デメリットとしては、逆に、個々の移転手続きに手間がかかるという点があげられます。